2010年10月9日 連載2

トマトの唄
農家の「結束・誇り」響く

旧加子母村(現中津川市加子母)のトマト農家の人たちは、毎年2月に開く加子母トマト生産組合の総会で、全員が起立して「トマトの唄」を合唱するそんな話を耳に挟んだ途端、どんな歌なのか、聴きたくなった。作詞者はなめくじ祭りの仕掛人でもあるトマト農家の丹羽照夫さん(83)。8月9日の夜、自宅を訪ねカセットテープを聴かせてもらった。

 

夫婦滝から流れる水と

ボカシ堆肥の根張りで作る

味よし色よし器量よし

美容健康に良いトマト

 

これが1番で、3番まである。 演歌調の軽快な曲で、トマトの生産者の誇りのようなものが伝わってくる。

作曲は、その音、青年団の楽団で管楽器を演奏していた、近所のトマト農家、纐纈俊一さん(82)。パソコンで編曲し楽器の伴奏をカセットテープに録音したのが、トマト農家の長男で中津川市加子母総合事務所に勤める三浦正樹さん(41)。歌うは、青年団の楽団でボーカルで鳴らした照夫さんの妻、すみゑさん(74)だ。

照夫さんはいう。「トマト組合の創立30周年大会が1995年に開かれるのを記念し立ち直るため、名古屋のアコーディオンクラブに入会し、アコーディオンに挑戦しはじめたころだった。「懸命に作曲に取り組み、何とか記念大会に合わせました」

「トマトの唄」の合唱に象徴されるように、トマト農家の結束は不思議なほど固い。

それは加子母トマト生産組合の歴史をさかのぼると、よく理解できる。

66年、農業改良普及員の呼びかけで、小郷地区の養蚕農家が一斉にトマトに切り替え、トマト生産組合を設立した。参加したのは41戸。メンバーは研究熱心で「味良し」を目指し、改良を重ねて来た。

雨よけハウス、幼苗接ぎ木システム、牛ふんや海草から作るボカシ堆肥、中島常允農法によるミネラルトマトなどを次々、導入。今では生産量の8割を出荷する京都の市場で「加子母ミネラルトマト」の評価は高く、ブランドとして定着しつつある。

組合長の纐纈輝巳さん(56)によると、組合員37戸のトマトによる平均的な年間粗収益は1戸あたり300万〜350万円台。①中心メンバーが70代、80代と高齢化し、後継者難②相場の低迷③農協などに支払う生産・流通コストが6割と高い点。この3つをどう克服するかが当面の課題だ。

なお、照夫、俊一の名コンビは、その後も地元の盆踊りの定番「ささゆり地蔵小唄」など5曲を生み出している。

 

 

特別編集委員 足立 則夫(62)